近視抑制治療
近視は遺伝的要因と、環境的要因の両方が関与すると考えられています。アジア人、親が近視だと近視のリスクは高くなります。またタブレット・スマートフォンの利用、幼い時期からの勉強(近見作業)、屋外遊びの減少など、こどもたちを取り巻く環境の変化により近年こどもの近視は増えており、世界中で問題視されています。
近視の多くは学童期に眼軸長が伸びることによる軸性近視です。眼球の成長は、身長の伸びる時期とほぼ同じ16歳頃まで続き、近視の進行を止めることは困難です。高度の近視は、網膜裂孔や網膜剥離、緑内障、近視性黄斑変性症の原因となります。学童期から少しでも近視進行を抑制したいと考えている方に、当院は自由診療の治療を提案しております。
- 低濃度アトロピン療法マイオピン
- オルソケラトロジーメニコンオルソK
- サプリメントロートクリアビジョンジュニアEX®
低濃度アトロピン療法:マイオピン
「マイオピン」とは、学童期の近視進行を軽減させることを目的に作られた、低濃度のアトロピン点眼薬です。現在、濃度は0.01%と0.025%の2種類がございます。Singapore National Eye Centre(SNEC:シンガポール国立眼科センター)の研究に基づいて開発され、統計的にも臨床的にも近視抑制に有意義な効果が得られるとされる治療法です。
当院では、まず0.01%の使用から開始していただきます。しばらく経過をみて抑制効果が乏しいと判断した場合や、治療開始時から高度近視の場合などは、高濃度で抑制効果がより強いと言われている0.025%に変更することを提案します。
マイオピンの特徴
- 副作用がほとんど無く、良好な近視抑制薬といわれています
- 2年間の使用で近視の進行を平均60%軽減させるといわれています
- 日中の光のまぶしさに影響を及ぼさないため、サングラスもほぼ不要です
- 近見視力の低下にほぼ影響を与えず、近用の眼鏡も不要といわれています
- 毎日就寝前に1滴ずつ点眼するだけの、非常に簡単な治療法です
- 点眼薬(1本、5ml)は両眼用で1ヶ月の使い切りです
- 点眼薬はGMP(医薬品製造管理及び品質管理基準)準拠の工場で製造されています
デメリット
アトロピンの作用により、点眼後まぶしさを感じたり、ピントが合いにくくなったりする可能性があります
濃度が低いためその作用は軽微であり、就寝前に点眼すれば翌日の生活に支障が出ることはまずありません
また、マイオピンに関しても他の点眼薬と同様にアレルギーのリスクがあります
マイオピンの対象となるお子さん
- 4歳から12歳の近視が進行しやすい学童期
- 軽度から中程度の近視の方(-1Dから-6D)
使用方法
- 毎日就寝前に1滴ずつ点眼します
- 2年間は継続することをお勧めします
注意点
- 現在、マイオピン点眼は日本で未承認薬剤であることから、自由診療による治療となります
- 点眼薬1本(5ml)は両眼用で1ヶ月間の使いきりですので、余ったら破棄してください
- 必ず診察が必要で点眼薬のみの受け取りはできません
- 保険診療と同日に処方をすることができません(保険診療との混合診療は禁じられています)
- 近視の進行が完全に止まるわけではありません
- 原則として初回処方は0.01%とします
- 6か月の経過で近視の進行が0.5Dを超える場合は、0.025%への切り替えを検討します
ただし
- 近視の進行スピードが速い方
- 近視がある程度進んでいる方(例:6歳で-3.0D以上)
- 5~7歳の低年齢の方
の場合は、0.025%が第一選択薬になる可能性があります。検査・診察の上、相談いたしましょう。
まずはマイオピン相談の予約をお取りください。
費用
マイオピン 0.01% |
3,800円 (税込) |
マイオピン 0.025% |
4,400円 (税込) |
検査・診察代 |
2,000円 |
サプリメント:ロートクリアビジョンジュニアEX®
“クロセチン”が小児の眼軸長の伸長、屈折度数の近視化を抑制することが治験で確認されています。クロセチンとは、クチナシの果実やサフランに含まれる黄色の天然色素です。いくつかの生薬にも含まれ、古くから人々の健康に役立ってきました。
近視抑制効果が期待できる量のクロセチンを、毎日の食事で摂取するのは現実的ではありません。そこで眼科のみで販売が許可されている、ロートクリアビジョンジュニアEXをおすすめします。
※ロートクリアビジョンジュニアは通販で安価で購入できますが、クロセチン配合量が異なり、近視抑制効果の治験はされていませんのでご注意ください。
そのほかの患者様自身で出来ることとしては、
- ゲーム・パソコン・テレビ・読書などの近見作業時間を減らし、良い姿勢を心がける
- 1日2時間以上、太陽光の下での屋外活動をする
- 遠近両用の眼鏡・CLの装用
があげられます。